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世界で最も高い写真たちが、宮沢りえのサンタフェを超えられない壁

1枚に億単位がつく写真の根拠を探ると同時に、その写真が史上最高の写真集といわれる宮沢りえのサンタフェにかなうのか検証してみました。

過去に数億円の高値がついた写真は何枚あるか?

写真に高値がつくようになってからどれくらいたったのでしょうか?ざっと調べただけでも10数枚の写真に億単位の値がついていました。その中でも、世界で最も高価な写真だけをピックアップしました。写真1枚に数億円とは買い手の顔が見てみたいです。

ビリー・ザ・キッドの写真 1880年撮影 お値段:2億3000万円

高い写真

世界で最も高い写真はどうして高いのか

疑問の出発点はだれがこの写真を買うのかということです。鑑賞目的であれば個人の美術愛好家が最右翼で、それ以外には美術館でしょう。美術品を投資対象と考えれば、投資家もありえるのでしょう。ただ美術投資は合理的な価格設定は難しいはずなので、投資対象として成立するのでしょうか。このあたりは調査が必要です。

さて写真に高値がつく理由を考えるにあたって、買う場所も考えなければいけません。写真を手に入れるのはネット通販ではなくサザビーズやクリスティーズのようなオークション市場で取引されます。オークションが売買の場所であれば、必然的に定価はありません。

高級品といえどもメーカー側が定価を決める取引ではオークションは成立しません。オークションで値段が決まるのは入札制度があるからです。この写真たちも、オークションに出品されてぐんぐん値段があがって最終的に2億円を超えて落札されたはずです。

エドワード・スタイケン 池:月光 1904年撮影 お値段:2億8000万円

高い写真

99%の写真家にとって、これは夢物語であって現実味がわきません。ましてや誰よりも早くゴールできるF1のシューマッハや誰よりも1打少なくホールアウトするゴルフのタイガー・ウッズと違って美術には価値基準がありません。だからどれだけ努力しても報われる保証もなければ、写真に値がつく感覚さえつかめません。

アンドレアス・グルスキー 99 Cent II Diptychon 2001年撮影 お値段:3億3000万円

高い写真

この写真と普通の写真を分けるのは非現実と唯一性

これらの写真は、絶世の美女を撮影しているわけでもなく、風光明媚の地を撮影したものでもありません。共通しているのは、非現実だということです。アンドレアス・グルスキーの写真をみたらわかりますが、これはステッチ技術とデジタル技術を駆使している作品であって、現実をそのまま撮影しているわけではありません。

アンドレアス・グルスキーの写真は、極限まで現実的にみえるまで非現実を追いかけた写真といえます。また、ビリー・ザ・キッドの写真を見れば一目瞭然ですが、この世に1枚しかないでしょう。そしてビリー・ザ・キッドといえば、西部開拓時代のアウトローとして世界的に有名な一匹狼です。

リチャード・プリンス 無題 2001年撮影 お値段:3億3400万円

高い写真

その他写真にも言えることは、写真といえども極僅かな数しか印刷されていないことです。アンドレアス・グルスキーの写真は美術館用に1枚と個人コレクション用の1枚しかこの世に存在していません。写真というのは何枚でも現像できる点で、絵画と決定的に違う点だと思っていましたが写真の新たな価値基準がこの億単位を生み出したのだと思います。

アンドレアス・グルスキー Rhein Ⅱ 1999年撮影 お値段:4億3000万円

高い写真

それでも宮沢りえのサンタフェのほうが価値は高い

savvvv
1枚が3億円だろうと4億円だろうと、150万部を売り上げた宮沢りえの写真集のサンタフェは1冊1000円と考えても15億円の価値です。たった1人が3億円を使った写真1枚よりも、150万人が興奮した宮沢りえの写真集のほうが圧倒的に価値が高いんじゃないでしょうか。ちなみに、いまでは宮沢りえの写真集は中古市場で500円くらいで流通しています。

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