旅行情報
中国が誇る世界遺産のひとつ、黄山。その旅行記。
黄山は中国・安徽省にある景勝地で、1つの山ではなく約70に及ぶ約1000M級の峰々の一帯を指します。標高の一番高い峰で約1800Mあり、その他1000M級の峰で構成されています。ここ黄山は世界遺産の1つとして登録されています。
古代から「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」と言われており、多くの文化人がここを訪れたようです。
今回は労働節にあたる4月末から5月初旬の3日間を使い、上海から黄山のご来光を拝みに撮影旅行にいってまいりました。
上海から黄山までの手段は飛行機、電車、レンタカー、バスと一通り揃っているようですが今回は登山に要する時間が読めなかったのでレンタカーにしました。
最近、杭州と黄山を結ぶ高速道路が完成したようで比較的容易に行けるようになったようです。走行距離は片道450KMですので、東京ー大阪間とほぼ同じような位置関係ですね。
旅行中は興奮気味だったので全く気にしてませんでしたが、往復約1000KMを運転&登山の旅は、結構ハードな旅だと容易に想像できますが、旅行前夜は気楽な小旅行気分でした。
行動記録
この旅行の所要時間を忘れないように
- 上海-黄山移動に運転8時間
- 登山口付近のホテルで睡眠時間3時間
- ホテルから山頂まで8時間
- 山頂ホテルで睡眠時間7時間
- 山頂から登山口まで時間4時間
- 黄山-上海移動に運転8時間
上海から黄山までの道のり 運転時間8時間
強行スケジュールの中、最も過酷だったのが一番最初の上海-黄山間の運転。片道500KMを高速で駆け抜け4時間で到着する予想のもと逆算して出発しましたが、あろうことかGPSナビが示したのは出発から300KM地点で高速をおりそこから200KMを下路で進むという地獄の道標でした。
恐らく、GPSナビのデータベースが、杭州-黄山間の高速が出来た時期より古い代物で獣道しか選択肢が無かったんですね。
とはいえ真夜中に頼れるものはGPSナビしかない中では従うしかありません。高速を降り、約200KMの獣道を進み続けましたが、道無き道とはこの事かと言わんばかりの砂利道でした。ダンプカーと砂埃と穴だらけの道、中央車線もなく、車線幅も分からない道を約3時間ほど抜けて無事に到着しました。
黄山登山 登山8時間
黄山というのは約70にも及ぶ峰全体を指し、中でも天都峰、蓮花峰、光明頂は三大主峰で全て標高1800メートル以上ある峰です。黄山風景区の面積は154㎢あり、峰と峰を縫うように歩き続け総階段数4万段の登り降りは険しい道程です。
とはいえ、中国における水墨画の半分以上のモデルが黄山と言われてるだけあって、この目に焼き付けないわけにはいきません。精神と肉体の修行だと思い、一歩を踏み出しました。
さて、今回の旅の目的は「光明頂」でご来光を臨むことです。黄山の登山口は二つあり慈光閣から登る道を前山、雲谷寺から登る方を後山といい、今回は後山ルートを選択しました。
雲谷ロープウェイで山腹まで到達し、黒虎松-白鵝嶺-北海-排雲亭-西海大峡谷地帯を経由して光明頂を目指しました。
なぜ光明頂を目指したかというと、光明頂に行かなければ本当の黄山の景色には出会えないと言われているからです。実際は充分途中で味わえたような気がするほど絶景だらけでした。
ちなみにこの光明頂は、黄山第二の高さを誇る峰でして標高1860メートルあります。 明代普門の和尚は、かつてこの頂の上に大悲院を創建し、今なお残る遺跡は、華東地区で標高が最も高い場所にある黄山気象観測所として残されています。 光明頂の名前の由来は、日光照射時間が長いことから名付けられています。 この場所からは、東海奇景、西海群峰、煉丹、天都、蓮花、玉屏、鰲魚諸峰などを眺めることができますし、地形が平坦なので、黄山の日の出と雲海を鑑賞するベストスポットして絶大な人気を誇っています。
登山中の景色はさすが世界遺産といったところで、水墨画の中にいるような雰囲気でした。黒松と断崖絶壁の見事な調和がこの絶景を生み出しているのですが、古代から「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」と言われていますが納得です。
さて、朝の7時にホテルを出てまずはホテルで休憩でもしたいところですが、なかなか到着しません。
なぜなら、八の字の道を一周してしまったからです。100段ほどある階段を登り切って、ホテル近しと思っていましたが、見たことのある風景が目の前に。20キロのカメラ機材と三脚を背負って5時間歩き続け、残された僅かな体力を振り絞って登り切った最後の一段の先にあったのが、まさかのスタート地点とはある意味、絶景ですよ。ここからです、この絶景から飛び降りたら楽になれるかと何度も何度も瞑想しました。しかし本当に最後の力を振り絞って無事にホテルへ到着しました。
宿泊したホテルは黄山白雲賓館というところで、山頂にあるホテルです。一泊1500RMBというオフシーズンの3倍近い労働節ならではの価格でした。光明頂まで300Mというロケーションのたご来光には最短スポットだったので良しとしました。
しかし、気づけば時間は夕方5時で、この季節の日の入りまでは約1時間半しかないです。日の入りの撮影は最大の目的でしたので、三脚とカメラをセッティングしていざ黄山の頂、光明頂へと向かいました。
光明頂について三脚をセットし終わり、周りを見渡せばざっと300人くらいは光明頂に集合していました。労働者の日、労働節にふさわしい労働者の集団です。日頃の疲れを取るべき日に間違って登山を選んでしまったことで、大量の疲れが蓄積されてしまった労働者達と共に日の入りを待ち続けました。
あいにくの曇りでしたが、日の入りは眼下に捉えましたので目的は達成としました。
日の入りが終わった瞬間に一斉に引き上げる観光客と共にホテルに戻り、食事をし、一日の疲れをとるべく睡眠しました。
黄山での撮影について
今回は撮影目的の旅行でしたのでカメラや写真撮影について。
黄山を訪れる観光客は一眼レフ保有率は5%程度でした。また、その5%のうち65%がCANON、35%がNikonという顔ぶれでした。レンズは24mm−70mmあたりの標準ズームが大半で稀に70−200級の望遠レンズを見かけました。
光明頂での三脚利用率は300名中、5名程度で、ISO感度を上げて手持ち撮影している人が多かったです。SONYやPENTAXなどその他メーカーは一切見ませんでした。
広大な自然とはいえども、世界遺産であり年間100万人が訪れる観光地であるため、広角レンズで広く切り取るとどうしても観光客が映り込んでしまいます。峰の中を縫うように歩くため対面の峰にはズームすると黄色い帽子をかぶった御一行様がよく写っていました。したがって、装備するレンズは標準から望遠レンズをメインセッティングにすることをお薦めします。また、靄も多いのでPLフィルターを用意しておくこともお薦めします。歩道も狭いため三脚を使う場所とタイミングは山頂の日の入り日の出だけに限られてしまうため持参しないでもいいかもしれません。杖を一脚代わりに使ってる人も多かったです。
黄山下山 下山4時間
本来の目的ご来光は、もはや頭の中から消えていました。この体力を1POINTでも回復するために出来ることは全てやろうと、しっかり寝て、ご来光など興味無しといった意気込みで朝を迎えました。
朝7時程度に既にご来光を終えた観光客の賑やかな声で起床しました。
帰りは遊歩道を中心に下山したので気分は楽でしたが、景色は上りに比べると静かなものでした。
10時にホテルを出発し車に乗り換えて駐車場を出発したのが14時、つまり4時間の下山。そしてここから運転して家に着いたのが21時、つまり7時間の運転。しかしその疲れも消え失せるような絶景を見れた労働節でした。
撮影機材:
NIKON D800
Nikkor 70-200mm f/2.8
Nikkor 24-70mm f/2.8