生活保護を不正に受給していた春日野美保
生活保護の受給を、複数の自治体から受給していたことで逮捕された春日野美保(かすがのみほ)。報道を見る限り、不正受給の対象となった自治体は、現在5箇所で、東京都三鷹市、神奈川県相模原市、神奈川県藤沢市、東京都世田谷区、東京都豊島区です。金額にして合計で60万円を超える額を不正に受給していたとのこと。
この問題は、生活保護の受給が同時に複数の箇所で行われていたことであって、複数の自治体から受給していたことではない。また、この問題の根底にあるのは春日野美保のような悪事を見つける機能が自治体側に備わっていないこと。A市とB市では隣接していても生活保護の受給状況がお互いに把握できないので事前に問題を潰すことは出来ない。
春日野美保の事例は、非常に悪質で悪意ある受給であるから断罪されるべき。不正受給を返還すれば刑事罰に処されない仕組みも整っているわけだから、この報道がきっかけで不正受給が減少すればそれでいいと思う。生活保護は憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を権利として具体的にしただけだから、利用することに何ら抵抗を示す必要もない。
生活保護の不正受給は珍しいことでもない
実は、生活保護の不正受給は春日野美保に限らず決して珍しいことでもない。生活保護の全体受給数から見ると100人に2人は不正受給と言われており、金額にするとその額200億円近くになる。不正受給の大きな原因は所得隠しである。例えば、ヤフオクの売却益、仕送りでの生活、現金払いの仕事、ギャンブルで生活するような人は生活保護を管轄する当局へ自ら届けない限りは無収入とみなすこともできてしまう。これが不正受給の1つの原因である。
生活保護の仕組みを逆手に取ったビジネスまで存在するのがいまの日本である。例えば、ある業社がホームレスを10人集めて、生活保護の申請を手伝う。その10人には申請手続きだけではなく、宿泊施設や食事まで面倒をみる。その代わりに生活保護の中からその費用をあてる。
一見するとビジネスとしてサービスと対価という市場原理が働いていそうだが、その対価が尋常ではない。トタン板しかない宿泊施設に、生活保護の受給額の大半が消えていくのである。いまの生活保護の仕組みは「住居のない者には生活保護の資格なし」である。この制度を逆手に取った悪徳業者が存在している。
ただし、全てが悪意ある不正受給とは限らない
不正受給は100人に2人、総数でいうと4万人を超えている。ただし、この全てが悪意ある受給でもないのも事実。例えば、最近だと芸人の母親が生活保護の不正受給をしていたと報道されていたことがある。私も法律に詳しいわけではないものの、夫婦と未成人の親子に限っては義務を負うものの、成人した親子間では仕送りを強制的な義務としていないはず。
つまり、金持ちの子どもがいたからといって、その子は親に毎月○○万円の仕送りをするべきという法的強制力はない。だから、芸人の事例ではそもそも不正受給には当たらない。謝罪会見に違和感を覚えた人も多いのではないか。このような報道をきっかけに、どうやら生活保護は最終手段であって、申請することは控えた方がいいと考えてしまいがち。
世界と比べると、日本の生活保護利用率は極端に低い
各国の事情があるものの、日本の生活保護利用率は極端に低いという統計がある。日本の生活保護の資格をもつ人数における、利用者の割合は2割である。一方で、ヨーロッパ各国は70%を超えている。現在、日本で生活保護を受けている人数は200万人だが、ヨーロッパ各国の水準に引き上げると、追加で500万人ほど増える計算になる。
生活保護は決して悪いことでも恥ずかしいことでもない
日本での生活保護のバッシングは非常に多いと思う。まずは働く、家族に頼る、そして生存の最終手段としての生活保護。これが一般的な認識ではないか。セーフティネットとしてうまく機能するには、利用者の正しい知識も必要だけど、何より非利用者の理解がもっと重要だと思う。財政圧迫するという議論もあるが、これまた誤解でGDP比0.5%程度だった気がする。諸外国では1〜10%程度だから、そんな議論は不毛だと思う。
全く同意です
国民に還元されるのをできるだけ絞ろうとしている世論操作が見えます
私は小売ですが街の商店街や大家さんは生活保護受給者のおかげでなんとか助かっています
ベーシックインカム賛成派です
小売業さん
コメントありがとうございます。
仰るとおり、わたしもあからさまな世論操作に国民は盲目になっていると感じています。
生活保護受給者で街の商店街がやりくりされているという事実は、想像もしていなかったです。
大変勉強になりました。