デジカメだけじゃない、スマホに侵食され消えていく商品たち

スマホがデジカメに取って代わり、特にコンパクトデジタルカメラ市場はこの世から消滅したと言っていいくらいです。そしてスマホの機能やアプリはカメラだけではないので、今後スマホの侵食はより広範囲に及ぶと考えられます。日本のスマホ普及率は50％も満たないです。それでもカメラ市場を衰退させるほどのインパクトがある商品です。この侵食を受ける市場に就職転職、投資もしたくないので、事前に衰退のトレンドを理解しておきたいと思いました。

スマホで写真も撮れるから、コンデジ市場は衰退した

コンデジは1995年頃に生まれ、成長し、2010年にピークを迎えた。その年、世界中で1億2000万台が出荷された。そのたった4年後の今年、70％も縮小して3300万台しか出荷されない。「スマホが伸びた、カメラが終わった」こんな短絡的な話じゃないけど、皮肉にも2010年はスマホ元年と呼ばれている。スマホが出る前から携帯で写真とって写メしてたのだから、常に競合はいたはず。カメラメーカーがホームランを打てずにいるだけ。正常進化とマイナーチェンジの繰り返しだけではスマホに勝てない。

スマホで音楽も聞けるから、デジタルオーディオプレーヤーは衰退した

東芝、パナソニック、Rio、シャープ、オリンパス、DELLもデジタルオーディオプレーヤーを作ってたのはとうの昔。もう全部撤退してた。いまではSONYとAppleの2強時代だけど、その2社はスマホメーカーでもある。スマホで音楽を聞かない人の傾向は、バッテリーの持ちが不安なのと容量を逼迫するのを嫌がるからで、その2つが解決したらもうデジタルオーディオプレーヤー市場は消えるはず。

スマホで動画も撮れるから、デジタルビデオは衰退した

デジタルビデオは、デジカメと同じく2010年がピークだったようだけど、比べればビデオカメラ市場はすごく小さい。2010年で180万台だったので、デジカメ市場の1％の規模。スマホの動画性能はものすごく進化してるから、毎年10％〜20％の市場縮小が続いている。もう少しで完全消滅だと思ってた。ところが、アクションカメラ・ウェアラブルカメラと呼ばれる商品カテゴリがすごく伸びてる。アメリカのGoPro、SONY、ビクター、パナソニックが市場を牽引している。この商品は生き残るかもしれない。

スマホでナビもできるから、カーナビは衰退した

カーナビ市場もやっぱりデジカメと同じく衰退中で、毎年10％ずつ縮小している。スマホの地図アプリやナビ専用アプリの影響でソニーは撤退したし、ケンウッドもパイオニアもこの事業は赤字。若い人たちの自動車離れも深刻だし、バイクや自転車にはスマホアプリのほうが断然便利だし、カーナビが復活するには不安材料だらけ。ハイエンドな車には純正カーナビ、ローエンドにはスマホ連携が進むと思われる。

スマホでゲームもできるから、ゲーム機器は衰退した

スマホのアプリランキングで上位はほぼゲームで占められている。ゲームセンターは全盛期から考えると4つに3つは潰れている。家庭用ゲーム機器もマイクロソフト、SONY、任天堂揃って売れてない。ハード面でもスマホやタブレットはあっという間にwiiやPSPといったゲーム機に早変わりしてるし、ソフト面でもアプリなら開発コストは安いし流通コストも安いのでゲーム開発社側から見たらゲーム機器に投資する意味がない。

結局、デジタル系の専用機器は衰退する

いずれにも共通するのは「専用機器」がスマホに駆逐されたということ。カメラもナビもビデオカメラもスマホの標準装備品として組み込まれてしまった。わざわざ買うべきものじゃなくなってる。十数年前に大型ショッピングセンターに関する大店立地法が改正された結果、大型のショッピングセンターが爆発的に増えて地元の商店街や専門店が激減した。このスマホの台頭と、専門機器マーケットの衰退は自然の摂理だ。

専門機器はより専門になればよい

だからといって、専門機器の存在意義がなくなったわけじゃない。デジカメ業界では高級コンデジの開発が進んでいる、音楽業界では超高音質のハイレゾ対応機器が売れている、デジタルビデオだって新たしい動画の面白さをアクションカメラが実証している。専門機器はスマホに駆逐されない新しい利用価値を生み出してほしい。専門機器があってこそスマホが開発されたわけだから、これから先も専門機器が時代を先行してくれるのがよろしいと思う。

カメラ関連の記事のはずが、大きくデジタルガジェットという領域に広がってしました。スマホだけで何でもできてしまうのは嬉しいようでつまらないと感じる人も多いと思います。スマホを手に入れて失ったものはものすごく多いかもしれないです。スマホのせいでガムが売れなくなったり、恋人との待ち時間の愛おしさも消え去ったと言われています。