13本からレンズを選ぶ。これは「ニコンFマウント」「50mmの焦点距離」「単焦点レンズ」「新品購入可能」という4つの条件で絞ったときに選ぶことのできるレンズ本数です。13本という選択肢は意外と多いと思いませんか?
1万円台で買えるレンズあり、30前に発売されたオールドレンズレンズもありと個性豊かな豊富なレンズラインナップを新品で選べるのはニコンユーザーの特権です。ここに紹介するのは、その13本全てです。保存版としてぜひレンズ選びにご活用下さい。
単焦点レンズの王道50mmの標準レンズ
単焦点レンズよりズームレンズのほうが圧倒的に便利
単焦点レンズの単焦点の意味は、焦点距離が1つだけということです。ズームすることはできません。35mmの単焦点レンズは35mm以外の焦点距離では撮影できません。もし被写体を大きく写したいのなら、撮影者自身が被写体に近づくしかありません。
ズームレンズは、その名の通りズームができるわけですからズームレンズ1本で 広い範囲が撮影できたり遠くのものを大きく写せたり非常に便利です。それにも関わらず、なぜ非便利な単焦点レンズがあるのでしょうか。
それでも存在意義がある単焦点レンズ
常に物事は二面性を持っているように、ズームレンズと単焦点レンズはそれぞれ相反するメリット・デメリットをもったものです。 例えば、ズームレンズはレンズを廻せばズームしてくれる利便性というメリットをもったレンズです。
しかし、焦点距離の違いによって伴う表現の変化だったり、撮影表現の感覚が掴みづらいのがズームレンズとも言われています。 つまり表現力や写真力が身につきづらいというデメリットがあるわけです。本来は自分が一歩前進すれば気づいたかもしれない見え方の変化に鈍感になってしまうということです。
同じ位置から同じ風景を撮影するにあたっても,焦点距離の変化によってパースのつきかたや遠景や近景の感じ方が違います。単焦点レンズはズームができないので、利便性というメリットを享受することはできませんが その不自由さを利用者自身でカバーしていくうちに、写真撮影のスキルや基本が身につく、写真力向上レンズなのです。
単焦点レンズの王道は50mmレンズ
フィルムカメラ時代は、フィルムサイズが35mmでしたがデジカメ時代は撮像素子のサイズが様々です。従って、50mmの焦点距離を「標準レンズ」と呼ぶには抵抗があります。とはいえ、50mmのラインナップはニコンに限らずどのメーカーも豊富にラインナップしていますし、数多く開発製造されているため技術的に進歩し終わったレンズともいえます。
人の目に近い画角が45mmであることを考えると、APS-C機に当てはめると70-85mmほどになってしまうため標準レンズとは呼べません。ただし、画角の感覚を磨くには安価に手に入る50mmのレンズがレンズの王道であることは間違いありません。さらに、カメラ趣味の先にはフルサイズ機も視野にいれていくこととなるはずなので、その場合には50mmレンズはそのまま50mmで利用することができます。
レンズ選びの前の基礎知識が参考になるサイトや記事
カメラを買ったばかりの初心者の方にとって、レンズ選びは意外と難しいものです。DXフォーマット、FXフォーマット、F値、焦点距離など少し事前知識を入れておいたほうがレンズ選びが楽しくなります。もし不明な点があれば、参考サイトをご覧下さい。
■レンズ全般の知識
マウントのことや焦点距離、F値の言葉の意味などレンズ全般については、ニコン社によるニコンカレッジが詳しいのでそちらを御覧ください。
▼ニコンカレッジ
http://www.nikon-image.com/enjoy/lensknowledge/
ズームレンズキットに付属するズームレンズと単焦点レンズの違いや、メリットデメリットについては当ブログ記事を御覧ください。
▼単焦点レンズのメリットデメリットについて
https://angoraphoto.com/camerareview/758/
50mm単焦点レンズという焦点距離の使い方、使い道についての記事。簡単な記事ですが50mm F1.8を使った作例もあり、初心者の方には良記事です。
▼50mmレンズの使い方、使い道
http://camera.itmedia.co.jp/dc/articles/1208/20/news100.html
ニコンなら50mm単焦点レンズは約14種類から選べる
ここでは、ニコンのカメラに装着可能な50mm単焦点レンズを全て網羅してみました。比較項目は価格や発売日、重さなどです。レンズ選びに迷ったらこのリストからピックアップして、実勢価格やサンプル写真などを探してみて下さい。必ずやお目当ての単焦点レンズがみつかるはずです。
※2017/10/12 14本目を追加しました
1.Ai AF NIKKOR 50mm f/1.8D
- 発売日:2002/08/08
- 重量:155g
- F値:F1.8
1万円代で買える50mm単焦点レンズ。何よりも安くて軽いです。恐らくその小ささに驚くと思います。描写性能はこれから紹介する他のGレンズに比べれば、ゴーストの発生など劣る部分も多いですが、コスパ最高との声は多いです。D300s/D700/D800あたりの機種との相性が良さそうですね。
ちなみにf1.8はf1.4と一段分違います。その差を数値で表すとF1.8はF1.4の明るさの約60%です。普通のスナップ撮影であればf1.8で充分だと思いますが、新型の50mm f1.8Gが2万円弱で売られていることを考慮すると、解像度という意味では新型をおすすめします。
2.AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G
- 発売日:2013/11/28
- 重量:185g
- F値:F1.8
撒き餌レンズと呼ばれることもありますが、開放からクッキリと解像してくれ、F5.6まで絞れば四隅までしっかりと写り、とても素晴らしいレンズです。DXフォーマットで中望遠として使うもよし、FXで標準レンズとして使うもよしの安くて軽い最高のレンズです。
若干ボケが硬めの印象もありますが、素直な描写は定評があります。超音波モーターの駆動もなめらかで、静かに合焦してくれます。逆光にも強く各収差も標準的なレベルで何ら問題がありません。どのカメラにも素直に合いますので、価格も含めて一番お買い得かもしれません。
▼参考になるレンズレビュー
3.AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G Special Edition
- 発売日:2013/11/28
- 重量:185g
- F値:F1.8
こちらは、ニコンDfの発売に合わせて発売されたAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gのスペシャルエディションです。簡単にいえば、カラーバリエーションモデルです。色が違う以外は、レンズ性能はAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gと何ら変わりありません。
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(スペシャルエディション含む)は現在発売されている50mm単焦点レンズの中では、もっともスタンダードであり定番単焦点レンズでしょう。Df以外につけてもカッコイイですので、色さえ気に入ればこちらもありですね。若干値段は高いけどね。
4.Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D
- 発売日:1995年
- 重量:230g
- F値:F1.4
発売は1995年、今から20年も前に発売されたレンズが今でも現役で使えるのが歴史あるニコンFマウントの醍醐味です。描写性能は最先端レンズには劣るものの、距離メーターや絞りリングの存在が、いまのGレンズよりも機械的で男心がくすぐられます。ちなみに、レンズフードは付属していないので、購入の際にはフードの購入もお忘れなく。
▼参考になるレンズレビュー
5.50mm F1.4 EX DG HSM
- 発売日:2008/8/29
- 重量:505g
- F値:F1.4
レンズメーカーのシグマ社から発売された単焦点レンズです。重量505gという超重量級レンズであり、フィルター径77mmの大口径レンズです。この後継機種がシグマARTラインから発売され純正キラーと呼ばれていますが、この50mm F1.4 EX DG HSMもまた開放からシャープで、ボケ味は総じて美しいと評判です。
この重さに辟易する人も多いでしょう、そしてあまりにも普通の光景しか切り取れない標準レンズをどうにか自分の画角に育て上げたいと思わせる、そんなレンズにも感じます。それがシグマのモノづくりであり、純正キラーの異名をとる50mm F1.4 DG HSMの先祖なのかもしれません。
▼参考になるレンズレビュー
- フォトヨドバシ の50mm F1.4 EX DG HSMレビュー
6.Ai Nikkor 50mm f/1.4S
- 発売日:1981年
- 重量:250g
- F値:F1.4
30年前に発売されたレンズが、いまなお新品で手に入るのは大変ありがたいことです。オートフォーカスはできないし、カリカリな解像力も持ちあわせていません。現代のレンズと比較したら欠点が目立つものの、ハッする1枚が出来上がるのがAi Nikkor 50mm f/1.4Sの醍醐味です。
しかし、さすがにこのオールドレンズが最新の50mm f/1.4Gと同程度の価格は気が引けてしまいます。30年間も販売されつづけており、中古市場で出回っている玉数も多いので中古で買うのが賢い選択かもしれません。
▼参考レンズレビュー
7.AF-S NIKKOR 50mm f/1.4G
- 発売日:2008/12/ 5
- 重量:280g
- F値:F1.4
50mm単焦点レンズが、レンズの中で標準レンズと言うのなら、このレンズは標準レンズの中の標準、基準、基本となるレンズです。先ほど紹介したF1.8の約2倍の値段がするので、果たしてその価値があるのか悩まれている人も多いです。数字でいうと1段しか明るさは変わらないものの、やはりF1.4は明るいです。
写りの違いといえば、f/1.4は開放では柔らかい描写をするのに対し、f/1.8は開放からシャープでキレがある印象を受けます。開放で撮影したときの柔らかさは大口径単焦点レンズの醍醐味です。この違いは善悪や優劣ではなくレンズの持ち味や味付けの問題なので、好みが分かれます。
また、50mm f1.4の上には50mm付近に「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」もラインナップされており、あえて50mm f1.4を外してf1.8か58mmに予算を振り分けるというのもありです。3次元を2次元で再現するという壮大なテーマを掲げたレンズだけあって、写りはどのレビューをみてもすこぶる良いです。
8.Planar T* 1.4/50 ZF
- 発売日:2006/2/28
- 重量:330g
- F値:F1.4
- MF(マニュアルフォーカスレンズ)
もし標準レンズと呼ばれる50mm付近を、ズームレンズだけでしか経験したことが無いのでしたら、まずは買いましょう。このPlanar T* 1.4/50 ZFと10番目に紹介するPlanar T* 1.4/50 ZF.2の違いは、CPU内蔵か否かです(ZF.2がCPU内蔵)。2段明るいF1.4。そして何と言っても金属の鏡胴は素晴らしいの一言です。
9.Ai Nikkor 50mm f/1.2S
- 発売日:1981年
- 重量:360g
- F値:F1.2
10.Planar T* 1.4/50 ZF.2
- 発売日:2010/1/20
- 重量:510g
- F値:F1.4
- MF(マニュアルフォーカスレンズ)
11.SIGMA 50mm F1.4 DG HSM
- 発売日:2014/5/16
- 重量:815g
- F値:F1.4
50mm F1.4 DG HSMは、シグマの高品位レンズシリーズである、「ART」シリーズに属する35mmフルサイズ機対応の開放F1.4の大口径単焦点レンズです。2008年に発売された「50mm F1.4 EX DG HSM」の後継機となるモデルです。これは純正キラーとしての呼び声高い銘レンズと言われています。
他のレンズとの大きな違いは、その大きさと重さ。小型軽量化が進む中、写りだけを研ぎ澄ませて一切の妥協をしないと、こういうレンズになるらしいです。815gという質量は単焦点の標準レンズとしてはかなりの重量級レンズです。
12.Makro-Planar T* 2/50 ZF
- 発売日:2007/3/22
- 重量:510g
- F値:F2
- MF(マニュアルフォーカスレンズ)
- マクロレンズ
13.Makro Planar T* 2/50 ZF.2
- 発売日:2010/6/24
- 重量:510g
- F値:F2
- MF(マニュアルフォーカスレンズ)
- マクロレンズ
14.カールツァイス Milvus 1.4/50 ZF.2
- 発売日:2016/2/18
- 重量:790g
- F値:F1.4
- MF(マニュアルフォーカスレンズ)
これ、マニュアルフォーカスレンズです。気軽に街に繰り出して、気軽にスナップ撮影、パシャパシャ撮るような撮影には向きません。毎回被写体と向き合い時間を掛けてピントを調整する必要があります。防塵防滴仕様で大変うれしいのですが、重さは旧型のプラナーに比べると3倍近くあり非常に重いです。