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世界遺産は見るだけじゃない、食べられる世界遺産があった

大红袍を栽培する場所

中国世界遺産の旅、今回は武夷山に訪問しました。ここへはNikon D4sにNikon 24-70mm f/2.8を装着して撮影していたのですが、24mmだと広角側が足りなかったです。世界遺産のフォトログは次回更新するとして、この記事は武夷山名物の1つである「伝説の銘茶 大紅袍(だいこうほう)」について少しご紹介したいと思います。

伝説のお茶、世界遺産に眠る大紅袍(だいこうほう)とは

福建省の北部にある武夷市の武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は烏龍茶の一種である。銘茶中の銘茶として有名であり、数々の伝説を残す茶である。この武夷岩茶の中でも四大武夷岩茶がさらに最高峰といわれており、「大紅袍(だいこうほう)」「水金亀(すいきんき)」「白鶏冠(はっけいかん)」「鉄羅漢(てつらかん)」の4つである。

そしてさらに、その四大武夷岩茶の中でも、最高峰に位置するのが大紅袍(だいこうほう、中国語よみはダーホンパオ)である。つまり、大紅袍は烏龍茶の最高峰に位置する銘茶である。ちなみに、紅茶のルーツもこのお茶である。「三紅七緑」といわれる最高の発酵状態で製茶しているので、渋みや香りがバランスよくて緑茶とは違った苦味が印象的である。

ただし、大紅袍は一般に手に入ることはまずあり得ないと言われている。なぜなら、中国全土でたった1平方メートルでしか採取できないからである。武夷山の一区画に自生するたった4本(6本説あり)の茶樹から採取されたものだけが、大紅袍であり、これは政府管理の場所なのだ。年間で採取できる総量はたったの数百グラムと言われている。

赤文字の「大红袍」右側の石造りの上に育っているのが大红袍の母樹である。

これが、その1区画である。岩肌にへばりつくように自生しているのが大紅袍。ちなみにこの写真に写っている茶葉だけで、数億円は下らないと対面にあるお茶屋の主人は言っていた。この母樹はいまから約400年前の明の時代末期に植えられた茶樹である。なぜこの広大な土地の中でここに自生するか疑問がわく。

写真では見づらいが、この場所は茶葉が育つ最高な環境なのだそうだ。まず、この茶樹の上のくぼみから滴り落ちる湧き水は枯れることがない。これが茶葉が育つみずみずしい環境を作る。さらに陽の光が均一に当たりつづけることで、茶葉が元気にそうだつと言われている。

伝説のお茶「大紅袍」の由来

大紅袍の名前の由来は、歴史とともに伝説となっているが、有名なのは天心寺の和尚説である。むかしむかし、難病に苦しむ皇帝に武夷山にある天心寺の和尚さんが、大紅袍のお茶を飲ませたところ、病気が癒えた。感激した皇帝は、大臣にしか着ることが許されていない紅いコート(紅袍)を茶樹にかけたという説。

大紅袍の伝説と逸話

大紅袍には、さらにこんな逸話も残っている。1972年のアメリカ合衆国大統領のニクソンが訪中した時のことだ。毛沢東(国家主席)と周恩来(外務部長)は、ニクソン大統領に大紅袍を200グラムプレゼントした。それに対し、国家主席同士のプレゼントが、たった200グラムの茶葉とはいかがなものかと怪訝な態度をとったニクソン大統領。

周恩来がここに一言添えた「この茶葉は中国全土でたった400グラムしか採取できない大変貴重な茶葉です。今ここで渡したのは200グラム、つまり中国の半分をあなたにプレゼントしたのです」ニクソンは改めて毛沢東と周恩来に敬意を評したのは言うまでもない。

一般人とは縁の遠い銘茶

こんな国家外交に使われる大紅袍が、一般に手に入るわけがない。一般に手に入らないのにはそれなりの理由がある。まず、この摘んだ茶葉を3つにわけ、1つは北京の政治の中枢へ(これが国家外交用に)、1つは福建省武夷市の政府が保管し、さいごの1ピースは国が主催するオークションに出される。

世の大富豪たちはオークションを使って入手してきたのだ。1998年、海外投資オーストラリア有限公司の董事長許栄茂はオークションにかけられた「大紅袍」茶葉20グラムを約16万元(約250万円)で落札した。2002年には、広州人が18万元で落札した。2005年にはシンガポール人が20万元で落札した。お茶っ葉20グラム(お茶の席数回分でしょう)に、数百万円つぎ込む価値があるお茶。世界最高額のお茶と呼ばれるのも納得だ。

大紅袍の最後

そして2007年10月10日、これが中国茶の歴史に名を残す日となった。母樹の大紅袍から最後の20グラムを摘み取り、武夷山から国家博物館に収蔵品として寄贈した。そしてこれが大紅袍の摘み取りの最後の日として決定された。つまり、この日以降、大紅袍は二度と摘み取られることはない。中国福建省はこの母樹に1億元(16億円)の保険をかけているといわれている。

dahongpao

かく言う一般人の私は、大紅袍を何度も飲んだ。飲んだのは本物でも偽物でもない、でも大紅袍である。このお茶は、大紅袍の栽培(養殖?)に成功し、大紅袍母樹から派生した第二世代、第三世代の大紅袍として手軽に手に入るようになったお茶である。自生する大紅袍とは希少価値は違えど、親元は一緒であるため味は一緒であるはず。

撮影後記:
何の事前知識もないままこの地を訪れて大紅袍茶畑を撮影していた。なので、まさか億単位の価値があるものを撮影していたとは驚いた。1時間くらい対面のお茶屋でくつろいでいたのだが、通りで皆一斉に同じ風景を撮影しているわけだ。ましてや、このエリアだけ望遠レンズ使用率が高いのも納得だ。今回の旅行でも感じたが、中国ではキヤノンユーザー率が非常に高い、というかニコンユーザーが非常に少ない。


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