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スナップ撮影で芸術か、下着写真で現行犯かの紙一重。シャッターを押さないでも逮捕される時代だよ。

下着を撮影したわけじゃないのに盗撮容疑で逮捕された40歳男

浴衣盗撮
写真はイメージです

わたしたちのようなアマチュアカメラマンにとっては背筋が凍るような話がある。この夏の下着写真の話。とある男が、電車の中で女性の身体を動画で撮影し、それに気づいた女性が警察を呼んで現行犯逮捕された。撮った映像は女性の顔から足までの全身が写っていたが、パンティーやブラジャーといった下着は写ってなかった。逮捕の理由は、迷惑行為防止条例違反。

これは一見すると、電車の中で女性を盗撮をした変態な下着写真男の逮捕劇で一件落着しそう。しかし、迷惑防止条例の適用範囲を調べると、世のアマチュアカメラマンは気をつけてスナップ撮影をしないとあっという間に現行犯逮捕されてしまいそうな危険な香り。彼は神奈川県の男で、同県の同条例違反の罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。

被写体に不快感を与えたスナップ撮影は、下着じゃなくても、もうそれ逮捕されるよ

迷惑行為防止条例は女性の下着写真はもちろんだけど、体を写して恥ずかしと感じさせたり、不安や不快感を抱かせた場合に適用される。ちなみに、重要なのは「体」。体は洋服を着た状態も指すので街でスナップ撮影中に通行人の女性を撮り、警察を呼ばれたらもう作品作りどころじゃない。カメラやスマホを向けただけ、シャッターを切らなくても逮捕の可能性がある。
つまり下着写真かどうかは関係ない、レンズを向けたらハイそれまでよってこと。

例えば、夏祭りや秋祭りで浴衣姿の女性を撮影したり、ベンチでうたた寝している人を撮影したり、森山大道的なスナップ撮影して、相手が不快だと感じて警察沙汰になることだって充分ありえる。そしたら、痴漢騒ぎと一緒で撮影者は絶対的に不利な状況。悪意がある下着写真の撮影は論外だけど、作品だ芸術だと叫んでも相手が不快ならもうアウトということ。むやみに相手にレンズを向けてはいけないのだ。

迷惑防止条例は、首都圏だけじゃなくて全国にあるから要注意

ニュースになる迷惑防止条例違反は、首都圏に集中している気がする。でも、調べてみたら昭和30年代から制度化されていて、47都道府県全てに定められている。本来は暴走族のような愚連隊から市民を守るために制定されたようで、いまではダフ屋行為、痴漢行為、つきまとい行為、ピンクビラ配布行為、押売行為、暴力行為、盗撮行為、のぞき行為、客引き行為、スカウト行為、悪臭行為あたりが対象となる。

基本的には下着写真のようなわいせつ性がなければ逮捕されることはないと思うけど、いずれにせよスナップ撮影を趣味とするスナッパーにとってはおだやかな時代ではない。スナップ撮影って、街中を散歩しながら誰かれ構わず自然体を撮影することがほとんど。常に条例違反にヒヤヒヤしながら撮影しなければならないなんて、スナップ撮影は怖くてできない。

だからこそ、森山大道的なスナップ写真がかっこ良く見えてくる

森山大道は、日本を代表するプロのカメラマンでモノクロのスナップ撮影で世界的にも有名な人。東京の歌舞伎町をぶらぶらしながら、スナップ撮影を撮りつづけている。彼の作品の中には、いまなら迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されてもおかしくないような写真が並ぶ。

いまだからこそ、森山大道のようなみずみずしいスナップ写真は魅力が増してみえてくる。いまはもう怖くて撮れない写真が、そこにはある。1枚の写真が、ソーシャルメディアを通じて世界中に拡散してしまう今の時代、個人情報を守るという意味では迷惑防止条例は重要な装置であることは分かる。安心と引き換えに、写真のオモシロさが1つ消えていくのは少しさみしい。

下着写真が撮りたいわけじゃないのに、たまたまシャッターを覗いて女性が写ってるだけでなんか怖くなってくる時代だ。